欲しがり同士
「クルルって欲しがりでありますよね。」
「あんた程じゃねぇゼ?タイチョー。」
「物欲って点では、確かに我輩の方が上かもねぃ。」
「それ以外、なんだ、ってんだ?」
「愛が、欲しい。ってカンジ?」
「タイチョー、ソレ、中二病ダゼ?」
「ソ?いくつになっても、愛は欲しいモンでありますよ?ニンゲン。」
「・・・・・大体、ソレにしたって、あんたのほうが、よほど、欲しがりだろ?」
うちの最年少に、破壊神の娘に、ここんちの長男長女に、影の薄いヤツに、その他イロイロ。
「んで、アンタの大事な幼馴染だ。」
指折り数えてケロロを大事にしているニンゲンの数を数えてみる。
「皆が勝手に『クレル』から貰うんでありますよ。」
「無くなったら、ゴネルくせに。」
「そーでもない、でありますよ?」
あぁ、でも。
「赤ダルマがくれなくなったら・・・・・どうしよっかな。」
横目で、チラリとのぞき見れば、相手もまた、こちらの様子を伺っていた。
「欲しい欲しい、って強奪ばっかだと、相手の愛は、渇いて無くなっちまうでありますよ?」
愛は、もちつ、もたれつ、さしつ、さされつ。ってね。
と笑う
「別にオレサマ、誰にも要求なんざしてねぇよ。アンタは、どうなんだよ?」
愛とやらを、誰かさんに返してるのかよ?
「返してるでありますよ?今。」
「誰に返してんだよ。」
「ギロロに。」
「・・・・・・・・・・ワケワカンネ。」
ここにあるのは緑と黄色の御仁のみ。ほかに誰がいるというのか。
「我輩。あのニブチンには、ストレートに愛を返さないことにしてるんであります。」
「それって、新手のイジメか?」
「長年の苦労から培った知恵でありますよ。」
どうせ、ストレートに返しても、あの、お人よしのニブチンのツンデレは、断るか分からないか逃げるかなのだから。
どこかあきらめた様にため息を吐くと、クルルは部屋をあとにした。
その後姿を目の端に留めつつ、ばれない様にケロロもため息を吐いた。
自尊心だか見栄だかが異常に高いクルルに素直に『ギロロに貰っている分の愛情を返してみろ』と言っても、
そもそも愛情を貰っていることすら否定するだろう。
なにせ、クルルの信条は『ギブアンドテイク』
だが、暇つぶしだか、八つ当たりだか知らないが、ギロロの体を掠め取っておいて、
それをギロロが許すことは、分かっている上での行動のくせに。
本当に欲しいのは、カラダだけではないくせに。
ギロロのプライドを傷つけて楽しむことではないくせに。
まるで、親からの愛情を、無条件で欲しがる子供のようだ。
「だから、忠告してるんでありますけどね。」
まだまだ、クルルには、届きそうにないでありますな・・・。
ギロロってホント。
困ったチャンに好かれるタイプでありますなぁ。